怖い話

偽物みつけた

俺がまだ小学4年生だった頃の話だ。夏休みになると、俺たち家族は毎年田舎の祖父母の家に遊びに行っていた。古いけれど広々とした木造の家で、周りは山や川に囲まれていた。俺たち子供にとっては、都会の窮屈な家とは違って自由の象徴みたいな場所だった。 ...
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見ているアプリ

最初にそれを見つけたのは、仕事が終わって家でソファに倒れ込んだときだった。 スマホのアプリ欄の中に、見覚えのないものがある事に気付いた。監視カメラのようなアイコンで、レンズ部分が赤く光っている。名前は書かれていない。いつから入っていたのか検...
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配信の果て

小さな部屋。壁には自分で貼り付けた防音材が張り巡らされ、机の上には中古で買ったPCとマイク。俺はこの狭い空間で、数人の固定視聴者に向けて毎日ゲーム実況を続けている。夢は、有名配信者になること。でも現実は厳しい。再生数が二桁いくことなんて滅多...
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遅れる鏡

鏡の違和感に気づいたのは、ほんの些細な瞬間だった。鏡の中の「私」が、ほんの少し遅れて動いているように見えた。それは一度気になりだすと、どうしても目を離せなくなる類の感覚だった。 その鏡は先週フリーマーケットで手に入れた、彫刻が施されたアンテ...
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消えた友人の家

大学時代の友人・タカシから突然電話がかかってきたのは、会社から帰宅した金曜日の夜だった。電話の向こうでタカシは懐かしそうにこう言った。 「久しぶりだな、元気か?最近どうしてる?」 どこか憂鬱だった日常の中、懐かしい声に心が弾んだ。久しく会っ...
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古びた旅館

大学生の私は、夏休みを利用して一人旅をしていた。新幹線を降り、ローカル線に揺られ、さらにバスを乗り継いでたどり着いたのは、山奥のひなびた温泉地。 日も暮れかけ、温泉街を歩いていると目に飛び込んできたのは、古びた看板だった。「山霧荘」と錆びつ...