怖い話

塾アルバイト

大学生の頃、私は小さな個人塾でアルバイトをしていました。塾は古びた雑居ビルの2階にあり、生徒数は10人ほど。先生も3人だけのこぢんまりとした塾で、少人数制だからこそ生徒一人ひとりと親しく接することができる環境でした。 その日は夜10時半を少...
怖い話

悲顔のコケシ

主人は温泉旅行が好きで、よく友人たちと出かけていました。その日も友人と一緒に旅行から帰ってきたのですが、彼の手には、小さなコケシが握られていました。普段、土産物には全く興味を示さない主人が「なんとなく惹かれた」と言って、リビングの棚に飾りま...
ほっこり

家鳴りの棲む家

おばあちゃんが生前住んでいた家を取り壊すことになり、私は両親とともに荷物の整理に訪れた。 おばあちゃんは数年前からグループホームで暮らしていて、この家には長い間人が住んでいなかった。古い木造の平屋で、ところどころ壁の色がくすんでいる。それで...
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かごめかごめ

これは私が中学生の頃、友人たちと近所の神社で遊んでいたときの話です。 夏休みの夜、「肝試ししよう」という話題で盛り上がり、地元で有名な古い神社に行くことになりました。 その神社は夜行くとよくないと言われており、理由は特に明確ではありませんで...
ほっこり

想いの形

気がついたら、私は歩道に横たわっている自分を、見つめていた。目の前には私を見つめる幼い息子の泣き顔。救急車のサイレン、周囲のざわめきが遠くで聞こえる。 「ママ!起きて!ママ!」 その声が届いても、横たわっている本来の私の体は動かなかった。ど...
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異世界体験

きっかけは、学校での些細な出来事だった。 ここ数週間、私はどこか空虚だった。親友だと思っていた子が私を避け始め、グループの中での居場所がなくなったような気がしていた。学校では笑顔を作って過ごしていたけど、家に帰るとその疲れが一気に押し寄せる...
怖い話

あかぐろなるもの

ある年の夏、僕は仕事の疲れを癒すため、一人で田舎の古民家に泊まることにした。都市部の喧騒から離れて、静かな時間を過ごそうと思ったのだ。インターネットで見つけたその古民家は、山奥の小さな村にあり、築100年以上の歴史があるという。非日常的な空...
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階段のおじさん

私には、物心つくかつかないかの小さい頃の記憶がある。鮮明というわけではないけど、その光景はずっと頭に残っている。 当時住んでいた家は、ごく普通の一戸建てだった。玄関を入ってすぐ2階まで階段が伸びていて、木の板張りのどこにでもあるような階段だ...
怖い話

真夜中の窓

夜中の2時過ぎ。家族は全員寝ていて、リビングはしんと静まり返っている。俺はソファに横になり、スマホをいじっていた。薄暗い部屋の中は時計の針の音だけが響いている。 ふと、視線を感じて顔を上げた。リビングの大きな窓が目に入る。普段なら夜になると...
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にょきりさん

子どもの頃、拓海の地元では「にょきりさん」という謎めいた存在が有名だった。学校帰りの通学路、電柱のすぐそばに、いつも奇妙な姿をした人影が立っている。遠目には人間らしさを感じるのだが、近づこうとする勇気は誰にもなかった。手足と首が異常に長く、...